【写】デジイチ人気写真12,000枚を分析して分かったことまとめ。(旬の撮影タイミング編)の巻
枕草子の
「春はあけぼの」
「夏は夜」
「秋は夕暮れ」
「冬はつとめて」
という一節は、誰もが一度は
聞いたことのある言葉ではないでしょうか。
いちばん「美しい」と感じるものって、
季節や時間によって違いますよね。
これって、写真を撮るときにも同じことが言えるんじゃない?
と思ったのが、今回の分析のきっかけ。
好きな被写体は人それぞれ、ですが、どうせ撮るなら
その被写体がいちばん「旬」なときに撮ってみたい!
…ということで、デジイチ写真12,000枚シリーズ第二回目。
今回は「旬の撮影タイミング」編をお送りします。
デジイチユーザ御用達サイト、GANREFの人気カテゴリの中から
5カテゴリをピックアップ。
どんな季節の、どんな時間帯に撮られているのか傾向を調べ、
被写体の「旬」なタイミングを探ってみました。
山がよく撮られている「旬」は何月の何時頃なのか?
海は?湖は?
人気のある写真の傾向が分かれば
自分の写真撮影にも使えるアイディアが出てくるかもしれません。
ではでは、さっそくカテゴリ別に見ていきましょう。
海はいつでも「夕暮れ」
旬な撮影タイミングを見る前に、
先に、人気のある写真が日本全土にどのように分布しているか
見てみましょう。
「海」カテゴリの人気撮影ポイントは、こんな感じに分布しています。
前回の記事でもご紹介したポイントがやっぱり人気のようです。
- 江ノ島~森戸にかけての相模湾
- 垂水側から臨む明石海峡
- 宮城 松島から臨む太平洋
そして今回は、「旬」なタイミングを確認するために
「月」×「時刻」別にGANREF Point(≒GANREFユーザによる評価ポイント)の
合計値をプロットしてみました。
※最大値が一定の大きさの円になるようにプロットしています。
「海」カテゴリのデータをプロットしたものがこちら。
ざっくり、「円の大きさ=人気の高さ」と考えてもらえればと思います。
…と、見てみると
「海は夕暮れがベスト」って断言してもいいくらいですね。これ。
日没のタイミングに合わせて、ピークの時間帯が動いているのが分かります。
ちなみに月で見ると、9月がいちばんの「旬」。
海水浴客がぐっと減りながらも、適度に見える人影が
アクセントとして写真に取り入れやすい上に
水蒸気の少ない秋の空は、空気が澄んで夕焼けもキレイ。
いちばん海を撮りやすいシーズンと言えます。
沈みゆく太陽を映して、海が赤く輝く瞬間は
ベタだけど、やっぱり心に響く一枚になるんですね。
虹を狙うなら「8月の18時台」
次は「空・雲」カテゴリを見ていきます。
位置情報による人気写真の分布はこんな感じ。
実はこのカテゴリ、
人気写真が多いのはココ!っていうほど密集度の高い場所がないのですが
個人的に気になったのが白木峰高原。
空や雲だけじゃなくて、夜景や星空もキレイに撮れそうです。
ちょうどスローシャッター勉強中のわたくし。
行ってみたい!…けど、ちょっと遠いなー。
ちなみに今、わたしが読んでるこの本。
個人的にめちゃめちゃオススメです。
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さて、「雲・空」カテゴリの写真ですが
こちらは晴天が多い8月から10月に掛けて「旬」を迎えています。
そしていちばん「旬」なのが8月の18時台。
この時間帯、「夕焼け雲」が多いのはもちろん、
「虹」の写真が多く撮られているのが特徴です。
虹は、雨が降ったあと、特に夕方に現れやすいと言われています。
夕立の多いこの季節、虹を撮るならこのタイミングを狙うべし!
運が良ければ二重、三重になった虹が撮れるようです。
湖沼は「秋の早朝」
つぎは「湖沼」カテゴリ。
分布図から見てみます。
人気のスポットは:
- 印旛沼
- 琵琶湖
- 山中湖
- 猪苗代湖
などのようです。
ここらへんは、前回の記事でご紹介したとおりですね。
撮影されたタイミングを見てみましょう。
海や空は夕方が旬!でしたが、
湖や沼は朝がシャッターチャンス。
それも、10月、11月の早朝が旬!のようです。
適度に湿度があって、適度に寒い晩秋、
湖沼の「湖沼感」を演出してくれる朝靄(もや)が発生しやすいのが
その理由といえるかもしれません。
オレンジ色の朝日が、湖沼に掛かった朝靄に当たるとき
なんともいえない幻想的で荘厳な雰囲気を作り出してくれます。
山もやっぱり、「秋の早朝」
続いて、GANREFの中でも圧倒的に撮影枚数の多い
「山」カテゴリに行ってみましょう。
富士山周辺、北アルプスが圧倒的な人気!
鉄板ですよね。
撮影されたタイミングを見てみると:
こちらも9月から11月の朝に旬を迎えます。
ポイントとなるのはやはり「朝靄」。
朝の太陽が朝靄に当たって光の筋(光芒)となり、
山々に注がれる景色は、まさに偉大な自然そのもの。
さむーい朝に、布団の誘惑を振り切って
寝ぼけ眼をこすりながらスタンバイする苦労も
ふっとんでしまうくらいの美しさです。
(…って、そんな時間に撮影したことない私が言うのもアレですが。)
そして、12月の16時台にも大きなシャッターチャンスが!
撮影された場所は…高尾山?
というわけで、調べてみると、冬至の頃
富士山の山頂に夕日が沈み、光り輝く「ダイヤモンド富士」が
高尾山から撮れるからなんですね。へええ。
富士の麓まで行けなくても、都内にある高尾山なら行ける!
という方は狙ってみてもいいかもしれません。
ちなみに、さきほど紹介した本、「スローシャッターバイブル」では
富士山の撮り方だけで10ページが割かれており、
富士撮影の奥の深さを思い知らされます。
木々を撮るならやっぱり「11月」
最後に見るのは「森林」カテゴリ。
人気写真の分布はこのようになっています。
人気のスポットとしては
・京都 嵐山
taken by love_child_kyoto
・熊本 菊池渓谷
taken by Satoru Morimoto
そして、前回もご紹介した北海道 美瑛町の木々、などが挙げられます。
撮影されたタイミングを見てみると…
はい。調べるまでもないですね。
森林の木々をキレイに撮る「旬」は、
紅葉の季節、10月から11月にかけてがぶっちぎりのピーク。
時間帯としては、十分な光量のある日中が中心になっています。
…と、今回は各カテゴリ別に「旬」な撮影タイミングはいつなのか
データからその傾向を見てみました。
なんとなく、「山を撮るなら早朝がキレイかな」とか
「海を撮るなら夕日が沈む頃かな」という予想はあったものの
こうやってデータで示されると、うん。納得。という感じ。
次にカメラを持つときは、
被写体と季節・時間の関係を意識してみようと思った次第です。
ではでは、またー。
ローアングルでの撮影にあると便利なアングルファインダー。
Kenko アングルファインダー KF-001 KFシリーズ一眼レフカメラ・各社一眼レフ対応
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上からファインダーをのぞき込めるようになります。
こういうアイテムの存在自体あまり知られてませんが、
寝そべったり、地面にカメラを置いたりしてローアングル撮影してるなら
間違いなく買いの一品です。オススメ!
また、小さな三脚が結構使えます。
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アングルファインダーと併せて使うも良し、
自宅での小物撮影用に使うも良し。
重めなデジイチもしっかり支えてくれる優れもの、です。
デジイチ好きのあなたにはこちらの記事もオススメです!
【補足】
使用したデータについて少し補足しておきます。
- 使用したデータは、GANREF様で公開されているKMLファイルから
撮影情報を抽出して分析を行ったものです。 - 本文中の写真については、自分で撮影したもの、ならびに
Flickr上で公開されている写真を使わせていただきました。
GANREFの写真を使っていない理由は、単純にブログへの
写真掲載が許可されていないためです。
低解像度でいいから画像をシェアできるようにしてもらえると
もっと多くの人に見てもらえると思うのですが…。 - 連続撮影されたデータによる偏りを防ぐため、
同じ日に同一人物が複数枚撮影した場合は、
最もGANREF Pointが高い写真の分だけをカウントし、
残りの写真のデータについては無視するようにしています。 - 季節性をなるべく正確に反映するため、
2013年1月1日以降に撮影されたデータは集計対象から外しています。
(含めたとしてもあまり差はなさそうですが…。) - サンプルはKMLデータに含まれている写真情報に限定されており、
GANREFユーザ全体の傾向とは全く異なる可能性があります。