【B】 何度言っても聞いてもらえないお願いを、一瞬で聞いてもらうためのデザイン。の巻
いつもの駅からの帰り道。長ーい商店街を通り抜けて自宅まで歩きます。
一本道です。
今日は薬局で買い物するために、店内をうろうろすること十分。
買い物を済ませてお店を出て、自宅に向かっている…はずが
見えてきたのは、さっき降りてきたはずの駅。
もうね。方向音痴もここまでくると、若年性健忘症なんじゃないか
ってくらい不安になってきます。(※実話です。)
「話を聞かない男、地図が読めない女」なんて本がありましたが
わたくし、男でありながら完全に女脳のつくりのようです。
さいわい、私の妻はバリバリの男脳なので、出歩くときは常に妻について行きます。
…が、妻に完全に頼り切ってしまっているがゆえに
ひとりで歩くと群れをはぐれた子羊のごとく、さみしく彷徨う羽目になるのです。
そんなわけで、今日は商店街の景色を覚えようと、注意深く帰ってきたのですが
途中でちょっと興味深いものを見つけました。
とあるお店の側壁に、赤いペンキで小さく「鳥居のマーク」が描いてあったのです。
何だろう?と気になりながら家に帰ってきて、妻にその話をしたところ
そこは歩くグーグルマップの妻。さすがです。
以前までは「小便禁止」と描かれていたというのです。
それを聞いて、思わず「はっ」としました。
商店街の周りは住宅街。
おそらく、お店の側壁に向けて容赦なく放たれる犬のおしっこに悩まされた店主が、
「(犬の)小便禁止」と書いたのでしょう。
しかし、飼い主からしてみれば、
「だって犬が勝手にするんだもん!止めらんないもん!」
って程度にしか思わなかったのかもしれません。
おそらく、抑止効果は店主が期待したほどではなかったでしょう。
そこで、かわりに店主が思いついたのが、文字で注意を喚起するかわりに
「鳥居のマークを描くこと」だったのです。
Wikipediaによると、鳥居とは
鳥居(とりい)とは、神社などにおいて
神域と人間が住む俗界を区画するもの(結界)であり、
神域への入口を示すもの。一種の「門」である。
(Wikipediaより)
そう。「結界」なのです。
わざわざ調べるまでもなく、日本の文化で育ったなら
それがなにか「神聖な場所」であるということを直感的に「感じる」と思います。
厳密に、お店の側壁が「神聖な場所」かというと、そんなことはなさそうです。
でも、自分の飼い犬が、それが本物ではなく、たとえ図形であったとしても
そこに向かっておしっこしてたらなんとなくイヤ、ですよね。
店主は、言葉で通じなかったお願いを、図形で表現することで叶えたのです。
直感にはたらきかける、デザインの持つチカラ
これまで、ぐうたらジャーナルでは、デザイナー経験もなにもない
ただの個人トレーダーのわたしがきまぐれに始めたこのブログで
しつこいくらいにデザインの重要性を語ってきました。
それは私が個人的に、(図形をはじめとする)デザインのもつチカラ、
特に、人間の直感(=無意識)に強力に働きかける力を信じているからです。
デザインのもつチカラが広く知られている例として「黄金比」があります。
黄金比はパルテノン神殿やピラミッドといった歴史的建造物、
美術品の中に見出すことができるという。
また、自然界にも現れ、植物の葉の並び方や巻き貝の中にも
見付けることができるといった主張がある。
これらの主張から、最も安定し美しい比率とされ、
意図的に黄金比を意識して創作した芸術家も数多い
(Wikipediaより)
なぜか人間にとってはこの約5:8(=約1:1.16)の比率が
最も安定したデザインに「感じられる」そうです。
Wikipediaにあるように、人間や動植物など、
自然が作ったデザインによく現れるパターンだから、という説がありますが
理屈はともあれ、人間にとってそれは無条件に「受け入れやすい」カタチなのです。
Webサイトのデザインもしかり、です。
黄金比にキッチリ従うのが良いかどうかは別として
あなたのサイトのデザインは、読む人の直感に働きかけます。
そして、言葉だけでは決して伝えることのできない、あなたのwebサイトの良さを
しっかりと伝えてくれるのです。
もし、ブログを通じて、あなたのアイディアを他の人とシェアしたい、伝えたい
と願うのであれば、ブログの記事をひとつ仕上げるかわりに、
デザインに手を加えてみてはいかがでしょうか。
あなたのサイトが、もっと雄弁に語りかけるようになる…かもしれません。
というわけで今回は、デザインの持つチカラについて、
私の思うところを語ってみました。
ぐうたらジャーナルではこれまで、はてなブログのカスタマイズを中心に
デザイン関連の記事も書かせて頂いています。
もしみなさまのご参考になれば幸いです。
ではでは、またー。
幾何学的なデザインに興味のある方は、こちらの本が参考になります。
実例の写真にトレーシングペーパーを重ねて構図のポイントがわかる、
という凝った作りになってます。
Balance in Design[増補改訂版]- 美しくみせるデザインの原則
- 作者: Kimberly Elam
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2012/01/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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こちらも、人が美しいと感じるデザインのポイントをまとめた本。
パラパラっとめくるだけでも新しい発見があるかもしれません。
Design Rule Index[第2版]― デザイン、新・25+100の法則
- 作者: William Lidwell,Kritina Holden,Jill Butler
- 出版社/メーカー: ビー・エヌ・エヌ新社
- 発売日: 2010/10/27
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(2013.06.05 追記)
…って、Wikipediaにちゃんと書いてありましたね。しっかり読めばよかった!
「小便避け・不法投棄対策としての鳥居 」という用途があるそうです。
なるほどー。